Marvel movies - 日本よ、これが映画だ!
アベンジャーズが日本で公開されたとき、
黒船が来襲したかのような高揚感があった。
そもそも、マーベル映画との出会いはアイアンマンだった。
兵器メーカーを経営しているトニースタークが、
拉致された穴蔵から脱走するために、
プロトタイプのパワードスーツを作り上げる。
そのスーツに改良を加えていき、悪と闘うためのメインスーツを完成させる。
人工知能のロボットと協力しながら、
お金と時間と技術を惜しげも無く使い込む。
この開発過程のワクワク感、躍動感に、完全に心を持っていかれた。
アークリアクターが生命維持装置としても、
パワードスーツの原動力としても働く。
何がカッコイイって、
自ら作った唯一無二のスーツに身を包み、
自分で危険を顧みず試運転を行い、試行錯誤する。
そして完成したスーツで、自ら生死を賭けた戦いに挑んでいくところだろう。
その前、自分たちの開発した商品で罪のない人が殺されていた。そこからの180度転換。
過去の過ちという十字架を背負い、
パワードスーツを着て、テロリストたちと死闘を繰り広げる。
スーツを装着するシーン、新しい武器、
これらがいちいちカッコイイ。
ハリウッドのSF映画におけるロボットの描写の最高峰だと思う。
マーベルがこだわりを持ち、これまた惜しげも無くお金を注ぎ込んでいるのだと思う。
トニースターク自身が遊び人の目立ちたがり屋で一匹狼という点もいい。
自分の信念で突き進む。誰からの指図も受けない。
しかし、協調性がないため、チームに向かない。
それはきっと自分が背負った十字架のせいだと思う。
トニースタークにとって、これは、自分自身の免罪のための闘いだ。
そこからのアベンジャーズだ。
アイアンマン、
ソー、
ハルク、
主役たちが集まる。
アルバムで言うところのヒットソングメドレーだと思う。
各アーティストの名曲たちを1つのアルバムに収め、作品として世に出す。
だが、不思議なもので、そういった類いの作品は、すぐ輝きを失う。すぐ飽きてしまう。
何故なのか、今なら分かる。
そこにストーリーが無くなってしまうからだ。
何の脈絡もない点を集めても線や面にはなりえないからだ。
でもアベンジャーズは違った。
秀逸なのは、
1つ1つの主役たちの映画が、相互に関連して作られていること。
いわば個々の映画はチャプターになっていて、
そのチャプターがアベンジャーズで合わさることで、線として繋がり、1つのストーリーとなり、マンモス映画になっている。
そしてさらに、単なるヒーロー映画ではない。
ヒーローたちの苦悩、挫折も上手く描かれてる。
戦闘で犠牲になった人がいる。
ヒーローがいるから悪が存在するんだと言う人がいる。
挙げ句の果てにはヒーローたちが不穏分子扱いされる。
一度はバラバラになったチーム。
自分たちを省みて、
そこから再度チームとして結束する。
手と手を取り合い、チームビルディング、
個々の力が合わさって更なる力を発揮する死闘に次ぐ死闘。
個々の作品で人となりや背景が描かれているため、背負っているものを感じながら観れる。
きちんと、ヒューマンドラマとして昇華されている。
映画の戦略スタッフも、制作スタッフもまさにアベンジャーズ、痺れる。
でも1番の成功要因は、
シリーズの戦略を描いていたことだけではなく、
アイアンマンにロバートダウニーJrをキャスティングしたことだと思う。
ロバートダウニーJrは、もう完全にトニースタークだ。それ以外に見えない。
そして、全作の興行収入の合計は、2兆円を超える。
どうか、ずっと続いて夢を見続けさせて欲しい。