誰かのためのブログ

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ヒミズ

この漫画を読んだ時、

本当に救いのない話が凝縮されていて、

本当に生きてくのって辛いな、と思った。

 

その反面、この主人公住田に比べると、

自分はまだまだ不幸ではない、

むしろ完全に幸せである、

と訴えかけられた気がした。

 

この漫画を読んだ後で、僕は変わってしまった。

 

 

自分にとって嫌なことやきついことがあった時、

自分の不幸加減を客観視して、住田と比べて、

自分はまだまだ幸せものである、と

自分自身を慰めるようになった。

 


自分がバランスを取るための唯一の方法だ。

それは普通ではないかもしれない。

 

しかし、僕のようなクヨクヨといつまでも過ぎたことを考え続けてしまう人間は、

寝て起きたら気持ちがリセットされるわけではない。

 

だから、そうやってケリをつけないと、

気持ちが落ち着かない。

ずっと沈んだままになってしまう。

 

 

この漫画は、4巻という少ない本で、

強烈な衝撃を僕に与えた。

 

世の中に理不尽なことや不条理は沢山ある。

それを変えることは出来ない。

むしろそれらが、次から次へとのしかかってきて、僕らの心の中心を暗く暗くしてしまう。

思い通りに行くことなんてほとんどない。

 

だったら、僕らはそれらとうまく付き合うしかない。

自分の芯を強く持って立ち向かうしかない。

自分の信念を貫くしかない。

そうやって、割り切って生きるしかない。

 

住田はあんな結末を選んだ。

 


これは、作者である古谷実が、

不幸の底辺を定義してくれたのだと思っている。

 

僕らが生きていく上での不幸の基準。

この不幸より不幸なんてないだろう、と。

 

そういう意味でこの『ヒミズ』は、

絶望を描き、希望を浮かび上がらせてくれる。

 

世の中、捨てたもんじゃないよ。