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Thom Yorke - Daydreaming - 人生の半分

『half of my life』

 

RadioheadのDaydreamingの最後に逆再生でトムヨークが呟く言葉だ。

 

この歌をリリースしたとき、

トムヨークは47歳、

その約7ヶ月後、長年連れ添った女性との別れを経験する。

 

DaydreamingのMVの中で、

 

彼は異なるドアを次から次へと開け、

何かを探し求めるように歩き続ける。

 

ストーリー性のない場面場面の断片的な切り替わりは、

まさに夢の中にいるかのようだ。

 

彼が探しているものは何なのだろうか。

 

建物の中、街中、海岸、家の中、

ただ彼はひたすらに歩く。

 

覚悟を決めたかのような表情、

夢と現実の狭間にいるかのような、

とても不思議な感覚になる。

 

何かを探しているのだけど、

何を探しているのか分からない。

 

ただ、あてもなく歩き続ける。

 

この感覚は、僕らの日常でも感じられるものと同じだ。

 

何かしたいけど、何をしたいのか分からない。

何か欲しいけど、何を欲しいのか分からない。

何か不安だけど、何が不安なのか分からない。

 

そうやって、彼も心を擦り減らしながら、

生きてきたのではないだろうか。

 

とてつもなく嫌なことや絶望的なこと、

世の中には掃いて捨てるほど渦巻いている。

 

そんな中でも懸命に自分を保つ。

 

その過程で生まれた感情、それを

彼は歌にのせて僕らに届けた。

 

最後に雪山の洞窟の中に這いつくばって辿り着く。

炎の横で横たわり、安らかな表情で、

あの言葉を呟く。

 

 

この曲がリリースされて3年間、

この曲をずっと聴いてきた。

 

僕が若かったら見向きもしなかった曲だ。

 

この曲はあまりにも美しすぎて、

あまりにも大人しい。

 

聴き続けて、ようやく分かった事がある。

 

half of my lifeが逆再生になっていた理由は、

 

戻りたい、

 

という思いではないだろうか。

 

人生の半分を終えた彼が、

残りの人生の半分をどうやって生きていくか。

 

出来れば、終えた半分をもう一度辿りたい。

あの愛がもう一度欲しい。

だけど、戻ることはできない。

 

だったら、過去の思い出と共に安らかに生きていこう。

 

そう決意した曲なのだろう。

 

トムヨークは人生を悟ってしまった、

 

そう僕は感じた。

 

これから生み出される曲は、

より一層深みを増し、

僕らの心の奥底に語りかけてくる筈だ。

 

『True Love Waits』

その時、本物の愛に触れる。